Project

主な実績

クラスメソッド株式会社

2021.12 - 2023.06

プロジェクト推進メソッドの共同開発と組織への浸透――Project Enablement

  • ナレッジを蓄積する環境づくり/プロセス改善
  • 独自メソッド/クラウドツールの開発・提供
クラスメソッド株式会社のすべての実績一覧classmethod-kaizenPJ2022-main

プロジェクトを推進しやすい状態を、 「自分たちで探究し続ける」組織を目指して


――About

自社の業務・組織文化に合わせて 「プロジェクトが推進しやすい状態」をつくる

AWS活用などのクラウド、アプリ、データ分析をはじめとするIT技術コンサルティングやシステム設計・開発サービスを提供しているクラスメソッド株式会社。同社では今回、自社の業務や組織文化に合ったプロジェクト推進メソッドの開発と、そのメソッドを組織内で浸透させていくための取り組みを実施しました。

コパイロツトはProject Enablement――プロジェクトを推進しやすい状態にするための考え方を提供すると共に、メソッドの開発および組織への浸透を支援しました。


一時的なノウハウの提供ではなく クライアント自身の言語化を支援

本プロジェクトは、実際に組織内で進められている複数のプロジェクトを「より良い状態で推進したい」という、クラスメソッド社のリーダーの想いを受けてスタート。プロジェクト内に存在している課題に対し、改善案を共に考えていくところから着手しました。

今回ご一緒するにあたり私たちが最も重要視したことは、クライアント自身が、より良いプロジェクト推進のあり方を探求し続ける状態・文化を構築することです。そのためにはコパイロツトから一方的にノウハウを提供するのではなく、クライアント自身に、プロジェクトを進めるために必要となるメソッドを言語化してもらう必要がありました。

そこでコパイロツトは実際のプロジェクトの状況と向き合いながら、3つの段階にわけて支援を行っていきました。

支援のプロセス

今回の支援は、大きく以下の3フェーズで実施しています。

まず最初のフェーズ(Ph1)では、プロジェクトマネージャーに対するサポートを行いました。実際のプロジェクトの状況をお伺いしながら、課題・論点を整理したうえで、改善すべき論点についての検討を行い、それを「プロジェクトの進め方」として言語化するサイクルを繰り返し実施しました。検討した内容は随時、実際のプロジェクトで実施いただき、その実施結果も踏まえて、改めて方法論をアップデートするプロセスを繰り返しています。

Ph2では、プロジェクトチームのサポートを行いました。ここでは、プロジェクトチームの定例MTGやふりかえりのファシリテーション、プロジェクトを通じた学習をしていくための各種支援(設計、議論のファシリテーション)など、チームとしてより良いプロジェクトを推進するためのサポートを実施しています。

最後のPh3では、Ph1やPh2で取り組んだことをベースにしながら、他のプロジェクトにも適用できる「プロジェクトの進め方」を部署内で創造・共有するために、部署レベルでの検討・対話を実施したり、状況に応じて勉強会を開催したりしました。

基本的な考え方

この取り組みを進めるにあたり、アメリカの組織行動学者ディビット・コルブの提示した「経験学習モデル」をベースにしました。「経験学習モデル」は、具体的な経験を通じて、内省、概念化(ナレッジ化)を行い、それをテストするサイクルを通じた学習プロセスです。ここで重要なのは、「行動」と「内省」の循環で、良い学習のためには「行動からの内省」を行うと同時に「内省を伴った行動」を行う必要があります。

「能動的実験や具体的経験をともなわない内省的観察・抽象的概念化」は、「抽象的な概念形成」に終わり、実世界において実効をもたない。 また「内省的観察・抽象的概念なしの能動的実験や具体的経験」は、這い回る経験主義に堕する傾向がある。

(中原淳. 経験学習の理論的系譜と研究動向. 日本労働研究雑誌. 2013, no.639, p. 4-14.)

具体的な取り組み

上記の考え方をベースに、今回は、個人(プロジェクトマネージャー)、プロジェクト、組織(部署)に対する取り組みを行いました。 それぞれの取り組みは下図のとおりですが、ここで意識した点は、個人(プロジェクトマネージャー)、プロジェクト、組織(部署)の取り組みが別々のものではなく、お互いに対して良い影響を与えるような関係性や場づくりを構築していくことです。 良いプロジェクトを生み出していくことを各プロジェクトだけに任せるのではなく、組織(部署)としてもより良いプロジェクトを進めるための環境づくり(ナレッジ・価値観・文化など)に目を向けることが重要だと考えているためです。

Reference

以下は今回の取り組みに際し、クラスメソッド社の視点で執筆されたブログ記事です。合わせてご覧ください。

Comment

今回のプロジェクトに取り組んだ手応え・成果について、クラスメソッド社のみなさまからコメントを寄せていただきました。

プロジェクトでどのようにしたらパフォーマンスを最大化できるかという漠然としたテーマから、コパイロツトさんに導いて頂きました。さまざまなプロジェクトの相談をさせて頂きましたが、コパイロツトさんの豊富な経験と知識量で解決のヒントをつかむ事ができたと思います。 チーム内で課題を解決していく手段をいくつか確立し、手段として利用することができるようになりました。異なる特性のプロジェクト課題に対応できるスキルがチームに身についたのは何よりの成果だったと思います。 パフォーマンスの最大化という意味では、まだまだ取り組むべき内容があると思いますが、本プロジェクトの経験をさらに発展させて、自然とプロジェクトが最適に修正されていく仕組みを確立していきたいと思います。 コパイロツトさんにはプロジェクトのこと、標準プロセスのこと、チーミングと多岐にわたるテーマでご支援頂きましたが、サポート範囲の広さに毎回感心させられました。またご支援をいただく機会があるかと思いますが、是非次回もよろしくお願い致します。 (データアナリティクス事業本部 ビジネスソリューション部/桑島さん)

「何か困ったことがあれば、まずは相談してみる」ことができる存在がコパイロツト様でした。 当事者になると見失いがちなことも、第三者の目線からアドバイスをいただくだけではなく、寄りそったご提案をしていただき、どんな時も頼りにしておりました。 「こういうのがあるのでぜひご活用ください」と必ず何かアウトプットを持ち帰ることができ、引き出しの多さに助けていただく機会がたくさんありました。 ご支援をいただき始めた当初は、プロジェクトを進めるにあたって悩んでいることをご相談しておりましたが、そこからプロジェクトの課題だけではなく、部署の抱える課題についても、解決や改善のために一緒に考え、動いてくださり感謝しております。 教えていただいたノウハウはプロジェクト推進だけに留まらず、読書会やチームビルディングの進め方など多岐にわたっており、ご支援いただいた期間で自分の意識が変わっていくのを感じ、ご支援いただいた効果を感じました。 今後も教えていただいたことを、チームや部署にも活用していきたいと思います。 (データアナリティクス事業本部 ビジネスソリューション部/松本さん)

コパイロツト様にはクラスメソッド内の課題について向き合い、人と人・プロジェクトと人という観点でチーミングやプロジェクトルールの改善に取り組んでいただきました。単純な発注受注の関係ではなく、タッグを組む形で共にクラスメソッドの将来への種まきとして改善に御協力いただき感謝しております。 当取り組みの中で社内およびクライアントコミュニケーションとして、ロールセッションやテンショントリアージなど、社内・クライアントにていかに率直に言い合えるか、価値観を揃えるためにはという観点で助言をいただきました。序盤でチームを作っていくのか、その重要性を非常に感じた取り組みであったと思います。 また、共に同じテーマにてそれぞれの観点にてブログを共著させていただく機会もいただき、大変光栄でした。弊社側の力不足もあり、浸透の中心がPh1~Ph2にまでとなりましたが今後はPh3に向けて引き続き対応していきたいと考えております。 (データアナリティクス事業本部 ビジネスソリューション部/佐藤さん)

各プロジェクトでのコミュニケーション設計から組織における環境改善(ナレッジの汎用化等)まで、プロジェクト推進における必要なことを幅広く支援していただきました。「人」がプロジェクトを推進させていくということを深く考え、チームや組織でのあるべき姿について一緒に整理できたことは、今後において大きな一歩だと感じております。 また経験の浅いプロジェクトマネージャーなどの目線でも、どういう観点でプロジェクトを推進していくべきかなどを助言いただき非常に心強かったです。課題や相談事についても、ビジネスソリューション部の一員のように親身になってアドバイスをしていただき大変感謝しております。 取り組みを通して得られた各プロセスの仕組みや考え方を、今後も継続・拡張できるようにしていきたいと思います。 (データアナリティクス事業本部 ビジネスソリューション部/大濵さん)

――Message

社内で続けられる議論が、 将来的な組織の発展につながる

「プロジェクトの進め方に目を向ける」ことは、実は簡単なことではありません。それは、検討する中身が難しいからではなく、「検討しなくても、悪い意味でなんとかなってしまう」ためです。プロジェクトがどのように難しい状況であったとしても、個人の気合と長い業務時間によって乗り切ってしまい、また、次のプロジェクトで難しい状況になれば、再び、個人の気合と長い業務時間で乗り切る。

そのようなことが繰り返されると、「プロジェクトの進め方に目を向ける」ことは逆にナンセンスな振る舞いとして捉えられ(「気合で乗り切れ」)、時間をかけること自体がコストとして認識されてしまうことも少なくありません。

しかし、今回ご一緒したデータアナリティクス事業本部・ビジネスソリューション部のみなさんは、組織的にもその重要性を理解し、現在も「プロジェクトの進め方」を日々議論し続けています。「プロジェクトの進め方に目を向ける」ことは、より良いプロジェクトを行うために、そして個人・組織・会社が成長していくために不可欠なことです。

今回の取り組みは、すでに、次の世代のプロジェクトマネージャーのための学びの場にもなっていると感じていますが、その先には、必ず組織・会社の発展につながっていくものと確信しています。そのような魅力あるプロジェクトに関わる機会をいただけたことに感謝するとともに、引き続き、ご貢献できるように弊社としてもプロジェクトマネジメントの方法論をアップデートし続けていきたいと考えています。(担当:米山)


Output クラスメソッド社の業務・文化に合うプロジェクトの進め方

Scope プロジェクトマネジメント、ファシリテーション、ナレッジマネジメント、プロセスコンサルティング

Credit - Client クラスメソッド株式会社 (Project Owner) - Project Partner 株式会社コパイロツト 米山 知宏 / Tomohiro Yoneyama (Project Enablement, Advice) 定金 基 / Motoi Sadakane (Project Enablement, Advice) 高橋 悟志 / Satoshi Takahashi (Project Enablement, Advice) 賀川 奈那実 / Nanami Kagawa (Project Enablement, Advice)